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3Mix

3Mix法とは

深い虫歯3Mix法
深い虫歯 3Mix法で治療

3種類の抗生物質(抗菌薬)を混ぜた混合薬剤を使って虫歯の細菌を死滅させる治療法です。
虫歯の治療は原則として虫歯になっている部分(細菌に感染している部分)をすべて削りとり、樹脂(レジン等)や金属を詰めるというものでした。
歯の中心部には神経(歯髄)という部分があり、虫歯の細菌が神経にごく近いところ、あるいは神経に達してしまった場合、従来の治療法では神経を取り除くことが原則でした(抜髄)。
3Mix法は虫歯を一部残し、薬で細菌を殺して神経をとらずに治療するという方法です。

3Mix法の詳しい解説

歯の中心部には俗に「神経」と呼ばれている歯髄と言う神経や血管が集まった組織があります。この歯髄(神経)は一度細菌に感染して激しい炎症を起こしてしまうと回復せずどんどん悪化して最後には死んでしまう(壊死)という特徴があります。
従って、従来、細菌が歯髄まで達していて歯髄が炎症を起こしている場合は歯髄をとる治療が原則でした。

歯の神経をとるには歯をたくさん削る必要があり、歯が構造的に弱くなるため、特に奥歯ではあとで大きく金属などで覆うようにかぶせる必要があります。また神経をとった歯は枯れ木のような状態であり、欠けたり変色しやすくなります。
以上のような理由からできる限り神経はとらずに残した方が有利になります。

そこで虫歯の細菌を薬で殺す方法が研究されました。新潟大学の岩久正明教授のグループが25年くらい前に3Mix法を開発しました。

従来の治療法と違うところは虫歯を完全には除去しないで深い神経に近い部分は 残して3種類の抗菌薬を置いて歯科用セメントで密閉して細菌を殺すという方法です。

その後、仙台の開業医の宅重先生がこの3種類の抗菌薬を混ぜる時に使う基材を改良して3Mix-MP法が出てきました。 この3Mix-MP法では歯は虫歯の部分もほとんど削らず3種の抗菌薬をつめて歯科用セメントと歯科用樹脂(レジン)で封鎖するだけの「削らない痛くない1回で終わる治療法」と主張されています。

3Mix法と3Mix-MP法の違いについて

3Mix法3Mix-MP法
3Mix法3Mix-MP法
 抗菌薬基材(剤)治療対象虫歯を削る量
3Mix法メトロニダゾール
シプロフロキサシン
セファクロル
歯科用セメント神経に近い深い虫歯虫歯はできるだけ削る
神経に近い部分だけ虫歯を残す
3Mix-MP法メトロニダゾール
シプロフロキサシン
ミノサイクリン
マクロゴール
プロピレングリコール
すべての虫歯虫歯もできるだけ削らない
虫歯も必要最小限だけ削る

3種類の抗菌薬で殺菌をするという点では同じですが、3Mix法のセファクロルと3Mix-MP法のミノサイクリンが違います。 もともと3Mix法の薬剤もメトロニダゾール、シプロフロキサシン、ミノサイクリンでしたが、ミノサイクリンと歯科用セメントの相性がよくないためセファクロルに置き換えられました。

オリジナルの3Mix法の開発者であられる岩久先生が

「3Mix法は、すでに開発後20年以上にわたって、全国で多くの歯科医に試みられているもので、その中で最も効果的な薬剤は、合成化学療法剤のメトロニダゾールです。う蝕患部細菌の大部分が偏性嫌気性菌であること、メトロニダゾールがそれらの殺菌に極めて効果的であることの基礎的・臨床的研究がこの方法の原点です。」

と述べておられるようにメトロニダゾールが一番殺菌力が強いと思われますので、どちらも抗菌薬の差はあまりないものと思われます。

抗菌薬を混ぜる基材が3Mix-MP法ではマクロゴールとプロピレングリコールに変更されており、薬剤の安定性と組織浸透性を高めたと言われています。

術式や適応症の違いですが、3Mix原法では通常の虫歯治療でできる場合は従来通り虫歯をすべて削ってつめるよう推奨しています。また虫歯が深く歯髄に近接しているか達していると思われ、3Mixの薬剤を使う場合でも岩久先生が

「う蝕の穴を修復する材料がしっかりと歯に接着して取れないためにも、あるいは歯の壁と修復材の間からの細菌侵入によるう蝕の再発を防ぐためにも、入り口には健康な歯を削って2mmほどの壁を作る必要があります。」

と述べられているように歯はそれなりに削って治療します。

一方、3Mix-MP法では日本歯科保存学会のHPから引用しますが

「感染壊死組織の除去をほとんど行わず、3Mixで無菌化を図って、 組織修復をうながすものである。口腔内の偏性嫌気性細菌感染症の すべてを対象にした内科的歯科治療の一つと位置づけられている。」

と書いてあるように、すべての虫歯が対象で歯をほとんど削らないということで

「これまでの歯科治療と概念を異にした新しい療法」

とされています。

3Mix法に対する当院の考え方

神経までは明らかに達していない浅い虫歯、中程度の虫歯

虫歯の部分をすべて削っても神経(歯髄)が露出しないことが確実な虫歯では、虫歯はすべて削りとる従来通りの治療法でやるのが原則だと考えています。
3Mixの特徴は虫歯を残すということですが、虫歯の部分には歯科材料が接着しません。虫歯の再発(二次カリエス)を防ぐには歯科材料を完全に接着させることが重要です。 少しでも接着をよくするためには虫歯は可及的に削り取らなければならないと考えています。

神経の近くまで進んでいる深い虫歯

 抗菌薬基材(剤)治療対象虫歯を削る量
当院のやり方メトロニダゾール
シプロフロキサシン
ミノサイクリン
マクロゴール
プロピレングリコール
神経に近い深い虫歯虫歯はできるだけ削る
神経に近い部分だけ虫歯を残す

通常通り虫歯を全部削ると神経まで達してしまうような深い虫歯で、神経が回復する 可能性がある場合には3Mix法をやる価値はあると考えています。
(歯の神経は大きなダメージを受けた場合、回復しないで段々悪くなり最後は死んでしまうことがあります。)
その場合でも、虫歯はある程度削る必要があります。
3Mixの薬剤を効果的に効かせるポイントは密封性にあります。 薬を完全に密封させるには上につめる歯科材料を歯にしっかり接着させなければいけません。 それには虫歯をある程度削らなければいけません。
当然、削れば痛みを伴う場合もあり、時には麻酔も必要になります。
また100%確実な方法ではなく神経が回復不能なダメージを受けていた場合、後に神経をとらなければいけなくなることもあると考えています。

使用する薬剤

使用する薬剤についてはマクロゴールとプロピレングリコールを使った方が効果は高いと考えています。薬剤に関しては3Mix-MP法と同じセットを使います。

3Mixは削らない痛くない夢の治療法か?

虫歯の部分に歯科材料は接着しません。良好な予後を得るためには良好な接着が必要不可欠と考えています。
従って歯はある程度削る必要がありますし、場合によっては痛みがともないますので麻酔が必要なこともあると思います。
3mix法は素晴らしい治療方法ですが「削らない、痛くない虫歯治療法」は、残念ながら現在まだ無いと考えています。
当院では3Mix-MPの薬剤は使いますが、いわゆる「3Mix-MP法」ではありません。
3Mixは魔法の薬ではありません。

3Mix法参考資料

日本歯科保存学会の3Mix-MP法についての見解
3Mix法開発者、岩久先生のHP(博愛歯科)

平日夜9時まで